なかはら的『カゴツルベ』レポ

2009年04月22日 18:02

レポとはいっても、なかはら的あらすじを書いてみて、その後感想を書きますね。
本当はあらすじと感想をごちゃまぜにして書こうかと思ったんですけど、舞台の世界をなかなか表現できそうになかったので(苦笑)
ちょっとでもあの世界観が伝わるといいんですが。
頑張って文章にしたいと思います。
ケイタイからご覧の方、長いので、見れなかったらおっしゃってください(汗)

ちなみになかはらが見たのは
◆3月21日18時公演
◆4月17日19時公演
◆4月19日 千秋楽
です。

キャスト
次郎左衛門:安田章大
八ツ橋:藤澤恵麻
治六:風間俊介
すあま:舞風りら
文左衛門:岡田浩暉
お市:小松彩夏
桃山:岡千絵
九重:松澤一之
お辰:鷲尾真知子
栄之丞:西岡徳馬
※以下、他とかかれているのは形を変えて町人や岡っ引き、女工になったりされているので。
メインと思われる役名を記載しますね。

刀の精(他):井俣太良
漸次(他):宮本大誠
丹兵衛(他):稲宮誠
新八(他):後藤晋良
誠二(他):織田和馬
佐吉(他):中島大介
忠次(他)鈴鹿貴規
丈助(他):蔦光拓哉
玉梅(他):大竹えり
夕鶴(他):坂本法子
朝露(他):赤羽根沙苗
初雪(他):桑原麻希
若草(他):河野悠里
媛椿(他):大野朱美
秋雨(他):児玉彩


あらすじ
※時折台詞が出てきますが、正確なものではなくニュアンスです(汗)しっかり覚えているものもありますが、あいまいなものもあるのでお許しください。


刀が納められた祠の横にたたずむ、治六(風間)とお市(小松)
雪が降り、冷たい風が吹く中、治六は言った。
「あんなところにさえ行かなければこんなことにはならなかった…吉原にさえ行かなければ」

「旦那様どこにいらっしゃいますか」
「治六、私はここにいるよ」
暗転とともにそんな言葉が聞こえ、舞台は『あんなこと』があった、きかっけとなるその時へ。
佐野の絹問屋の若旦那・次郎左衛門(安田)。
彼は幼馴染でもあり使用人でもある治六をお供に連れ、大商人である文左衛門(岡田)に連れられて、吉原へとやってくる。
次郎左衛門は始めてみる煌びやかな世界に魅せられ興奮気味。
興奮する次郎左衛門は、治六とぶつかり転んでしまう。
それを助けようと手を差し出した花魁。彼女は叫ぶ。
なぜなら次郎左衛門の顔には忌々しい痣が刻まれていたからだ。
「旦那様申し訳ございません」
そうひれ伏す治六に「仕方がないよ」と笑顔を向ける次郎左衛門。
彼はこれまでもその顔のせいで、幾度も忌み嫌われながら生きてきたのだ。
謝る文左衛門にすら、「私のは不釣合いな場所のようで…」と悲しく微笑む次郎左衛門。
そこへ始まる『花魁道中』
やってきたのは兵庫屋、いや吉原一と名高い花魁・八ツ橋(藤澤)
八ツ橋の美しさに、次郎左衛門は一目ぼれ。
ぼやっと見やる次郎左衛門に気づいた八ツ橋は声をかける。
「主さん、そのお顔」
「こ、これは生まれつきで」
そんな会話を交わした次郎左衛門と八ツ橋。
彼らは再び出会うのを、知らずに別れる。
だがこれこそが、運命の出会いだったのだ。

場面変わり、兵庫屋。
「おおまらこまらひやかしまら きませぬように」
そう声高らかに言う花魁。
今まで育ててやった恩返しをすると思って働けというのは、兵庫屋主・お辰(鷲尾)
そこに一人キョロキョロとあたりを見渡す女、すあま(舞風)
すあまは売られて、今日から兵庫屋で働くこととなったのだ。
皆が忙しく働く中「男を手玉にとって稼ぐ」と言い切るすあま。
その横で繰り広げられる、兵庫屋の舞台裏。
「紀伊国屋の旦那が連れてきた上客に、なんで兵庫屋二番手のこの私がありつけないんだい」と迫る桃山。
番頭から理由を言われ「それなら願い下げ」と去っていく桃山。
客の元にいったはずの花魁が逃げ出してくる始末。
そう、次郎左衛門の顔の痣をみた花魁たちは、忌み嫌い逃げてきてしまったのだ。
そこで白羽の矢がたったのは、すあま。
「お前さん、行っといで」と送り出されようとしたその時、八ツ橋登場。
「私でよければ」
こうして、八ツ橋と次郎左衛門は再会することとなったのだ。
八ツ橋の登場に驚きながらも、場をわきまえて立ち去る文左衛門。
思わぬ再会に緊張しすぎてしまっている次郎左衛門。
次郎左衛門はあまりの緊張に逃げ出してしまう。
そして行き着いたのは鏡の部屋。
自分の顔を見て驚いてしまう次郎左衛門。
そんな自分を卑下していると、「ここは私の部屋だ」といってやってくる八ツ橋。
「八ツ橋。お前は俺のこの痣、どう思う?」
「醜い……でも私は主さんのこの痣、好きよ」
「八ツ橋っ」

しかし八ツ橋には思いを寄せる浮世絵師・栄之丞の存在があった。
幼いころ、自分が花魁になったら一番に絵を描いてほしいと強請った八ツ橋。
栄之丞はそんな八ツ橋の、親子ほど年の離れた間夫だった。
だが吉原の嘘は誠となる。
すっかり八ツ橋に心を奪われてしまった次郎左衛門。
「あの…その、花魁を買い取るというか…お嫁さんに来てもらうには…」
「身請けですか?」
「身請けというんですか?」
「…仮にお値段をつけるとするならば……千両」
「千両?!」
吉原を何も知らない次郎左衛門に言い放ったお辰の言葉。
だがお辰は確信していたのだ、彼は兵庫屋にとって上客になるのだと。
千両と聞かされて、地元佐野に戻った次郎左衛門。
仲良く寄り添う治六と許婚のお市、そして奉公人を見ながら、とてもじゃないが自分のためだけにそんなお金は使えないと治六に話す。
「先代から受け継いできたこの絹問屋を大きくして、少しでもみんなに給金を払って、みんなが幸せに過ごしてほしいんだ。それが自分を拾い育ててくれた先代への恩返しにもなるんだ」
だけど時々は遊びに行かせてもらってもいいかな、なんて話しているところに、お市がもってきた一枚の瓦版。
遠く離れた西の地で絹の価格が大暴落しているというのだ。
「旅の支度をしておくれ。」
次郎左衛門は商機を見逃さず、治六と旅に出たのだ。

そうして巨額の富を得た次郎左衛門。
そんな次郎左衛門の成功を知ったお辰と九重は、次郎左衛門から金をむしりとろうと計画する。
八ツ橋を身請けすることだけにとどまらず、見習いのすあまを八ツ橋の妹と偽り花魁にするための費用をむしりとったりと、だんだんと金遣いの荒くなる次郎左衛門。
すあまが八ツ橋の妹なんかではない、とわかっているのにやめられない。
この三月で使った金は千両。
尋常じゃない使い方をしている次郎左衛門の元へ登場したのは刀の精(井俣)
「夢が覚めたらどうなる!夢を見続けたいだろう」
そうして次郎左衛門は、治六や文左衛門の言葉に耳を貸さなくなってしまうのだ。
だがそんな生活をしていれば、やがて金は尽きる。
それを諭す文左衛門に、「わかりました」と告げる次郎左衛門。
立ち行かなくなった店のために、慕ってくれる治六のために、八ツ橋をあきらめようとする次郎左衛門。

一方八ツ橋の間夫・栄之丞は次郎左衛門の金遣いの荒さを歓迎しているそぶりを見せながらもあせっていた。
自分は病にかかってしまい、八ツ橋の年季があけるのを待っていられなくなってしまったからだ。
そして栄之丞は八ツ橋に告げる。
「この鳥籠の中から一緒に出よう。外の世界のことは俺が全部教えてやる」
だが足抜けしようとしたところを見つかり、栄之丞は八ツ橋の目の前で殺されてしまう。
「主さんっ」
悲痛に叫び泣く八ツ橋にお辰は告げる。
「大丈夫だね……大丈夫だねっ」
「…はい」

そのすぐ後に八ツ橋に別れを告げるためにやってきた次郎左衛門。
しかしそんな次郎左衛門に話がある、と告げる八ツ橋。
「身請けをしてください」と。
「お前が言う主さんは、本当に私のことか?あの栄之丞という男のことではなのか?」
「主さんのことでございます」
「…わかった。身請けをしよう」
…もう店も立ち行かなくなり、千両なんていう巨額払えるわけでもなかった。
だけどどうしても、次郎左衛門は手に入れたかったのだ。
嘘を誠に変えてでも、幸せを。

次郎左衛門は文左衛門に、自分の店と工場を担保に千両の金を借りる。
しかし文左衛門からは縁切りをされてしまう。
「これでいいんだ」
自分にそう言い聞かせてきたのは、新八(後藤)が夕鶴(坂本)を身請けしたお披露目の席。
そんな祝いの席で告げられたのは、無常な言葉。
「八ツ橋は深川のご隠居に身請けされることとなりました」
昔から贔屓にしてくれている深川のご隠居は二千両出してくれるのだ、と。
打ちひしがる次郎左衛門に八ツ橋の言葉が降る。
「深川のご隠居のお話、断らせて頂きます。」
「八ツ橋っ」
「…主さんは何を勘違いなさってるんですか?主さんのお話も断らせて頂きます」
八ツ橋は言う、この鳥篭のような世界がいやになったのだ、と。
だが自分は吉原一の花魁、たかが千両で売られていくような安い女じゃない、と。
「おおまらこまらひやかしまら きませぬように」
何度も告げられる花魁たちの言葉に、頭を抱える次郎左衛門。
「やめてくれっ」悲痛に叫ぶ治六。
そして八ツ橋は声高らかに言った。
「ひやかし千人、客百人」
「…花魁、そりゃあんまり袖なかろうぜ」

「お世話になりました」
そういって店を出た次郎左衛門。
その日は雪が降っていた。
次郎左衛門、そして治六のことが心配で佐野から出てきたお市。
治六に寄り添うお市、そんな二人を見ながら次郎左衛門は言う。
「幸せになっておくれ。私はみたいのだ。私がどうしたって手に入れられなかった幸せを」
「へい」
治六とお市はその言葉に深くうなずく。
「旦那様、旦那様も約束してください。ずっと見守ってくれると」
「…ずっと見守っているよ」

「一人になりたい」
そう治六に告げて一人になった次郎左衛門。
そこに出てきたのは刀の精。
「八ツ橋を切るのか?」
「違う、助けるんだ。八ツ橋をあの狂った世界から救い出すんだ」
狂ってしまった、次郎左衛門。
名刀『籠釣瓶』を手に、吉原へ。
次々と吉原の住人を斬り殺す、次郎左衛門。
そしてついに次郎左衛門は八ツ橋の元へ。
「これで私は、主さんのもの。さぁ、お斬りなさいまし」
「うわーっっ!」
八ツ橋をきりつけた次郎左衛門。
そこへやってくる治六とお市。
「治六。もうひとつ約束しておくれ。『安らかに、求め過ぎず、ただ、生きてくれ』」
そして次郎左衛門は無常な言葉を告げる。
「この刀で私を斬っておくれ」
次郎左衛門の方に泣きながら手を置く治六。
そして、籠釣瓶を受け取った治六。
次郎左衛門に刀を振り下ろす。
雪の降る中、ぱたりと倒れ付す次郎左衛門。
逃げ出す治六、追いかけるお市。
倒れる次郎左衛門、そして八ツ橋に降りしきる、冷たい雪。


感想
なんていう感じで、幕がおりてしまうのですよー。
うん、救いのない終わり方をするわけですが。
えっとですね、アドリブポイントは、八ツ橋の身請けが千両だとわかって、一度佐野に帰った時です。
治六とお市が抱き合って幸せそうにしているところに次郎左衛門がやってきてちゃちゃを入れるんですが(笑)
幸せそうな治六とお市に「混ぜてくれるか?」とお茶目に迫る次郎左衛門とか、すあまと何かあったんじゃないかと次郎左衛門に責められて「心拍数が上がって」と挙動不審になる治六とか。
凄く楽しくて幸せなところは、このあたりが一番かな。
あとは、大阪へ絹を買いに行くところ。
あ、ここがシンメのダンスのところなんですけど、大阪verは東京よりも短くアレンジされていて、なかはらはちょっと物足りなかったんですけど。
ま、あれが一番印象に残った、みたいな感じだとダメだから、いいっちゃあいいんでしょうけど(爆)
青山劇場で見た後に書きましたが、わかっていてもやめられない、そんな風に狂っていく、悲しさ。
アホなんですよ、次郎左衛門。
ちょっと腹たつくらい、アホで。
コンプレックスを抱えているからと、見えるものも見えなくなっちゃうような。
だけど、そんなアホに、心動かされていくんです。
ベテランの方は端々にアドリブを入れたりとか、表情を変えてきたりとか、やっぱり安定感のある感じで。
西岡さんや鷲尾さんは、もう圧勝ですよ。
他とは比べちゃいけない感じです。
東京公演を一度見たときは、お辰に惹かれまくったんですけど(悪役なのに/笑)3回見て、女性陣の中だと桃山勝利、って感じかなぁ。
もちろん八ツ橋も凛としていて綺麗だったんですけどね。
桃山こと岡さんの演技には大変魅了されました。
そしてそして。
我が座長を支え続けてくれた、治六こと風間俊介。
座長ももちろんすばらしかったけど、やっぱりこの『カゴツルベ』は風間俊介なくしてはできなかったと思います。
「へい」っていう台詞だけで、あんなに泣かせることができる人なんていないんじゃないか、って思うくらい、2幕ラストは凄かったです。
だって最後の方、本当に「へい」しか言ってないんですよ。
「へい」の二文字に、次郎左衛門をどんなに想っているのかがわかって、すごかったです、風間俊介。
彼がいたから、次郎左衛門こと安田章大もやれたんだと思います。
そして次郎左衛門こと安田章大。
座長としてという気負いとか、そういうものがまったくなかったとはいえない、新たな挑戦だったわけですけど。
いつ見ても誇らしかったです。
一幕のにやけた顔からは想像できない、二幕の狂気に満ちた顔。
安田章大が全身全霊をかけて望んだことが手に取るようにわかりました。
次郎左衛門を演じるにあたって、つらい思いすら共有してしまったこともあるかもしれないけど、舞台がひとたび終われば、そこには笑顔。
やり遂げた、やって見せた、そんな安田章大がいて。

このカンパニーはすごく素敵だなぁ、って思いました。
メインのキャストの方はもちろん、他の方全員が、同じ方向を向いて、それに向かって日々邁進している。
いつ見ても一人ひとりがキラキラしていて、まぶしくて。
物語は悲しい結末を迎えてしまうけど、帰路につくその時には笑顔になっている。
だって、みんなが笑顔で送りだしてくれるから。
それはもちろん、安田章大自身のひととなりもあったんだろうとは思うんですけど、周りの人たちみんなが座長である安田章大を支えて、やっていこうという気持ちの現われだったような気がします。
千秋楽の日。
最後に挨拶をしてくれたんですけど、ヤスが。
一度だけお客さんに背を向けた瞬間があったんです。
それは、共演者・スタッフさんに「ありがとうございました」と深々とお辞儀をした時でした。
ヤスらしいですよね、ヤスらしい最後だったと思います。
また会いたいと思いました、このカンパニーに。
求めすぎず、とは舞台にも出てくるんですが、このカンパニーに再び出会うことは望んでもいいですよね、それは間違ってないはず。

最後の最後に「次はライブやでー」といったヤスには「それはあかんやろー」とダメだしをしておきますが(笑)この経験を経てまた大きくなった安田章大が、これからどんな顔を見せてくれるのか、楽しみにしておきたいと思います。
まずはライブ、ですねっ。


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